石膏ボードとは:
処分に注意が必要な建材。処分場の不足も課題に
有用な建築資材である石膏ボード。反面、廃棄処分は大変
建築物の内装として、壁や天井に用いられる石膏ボード。板状に成形した石膏に紙を貼り合わせた合材です。安価で施工しやすく、耐火性や遮音性に優れるため広く使われてきましたが、反面、廃棄には注意を要する資材でもあります。
処分時の分類は「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」となりますが、通常のガラスなどと同様には処分できません。石膏をそのまま埋め立てると、主原料の硫酸カルシウム(CaSO4)と有機分が土中で微生物により分解され、人体に有害な硫化水素(H2S)を発生させることがあるためです。また、製品由来のフッ素が流出し、土壌や地下水を汚染することもあります。
このため廃石膏ボードは産業廃棄物として、管理型最終処分場に処分するよう法で定められています。管理型最終処分場における処分コストは、他の処分場よりも高額であり、現場にとっては大きな負担となっています。
再生しやすい「新築系」でも60%程度。伸び悩むリサイクル率
コスト削減と環境負荷低減の両面から、廃石膏ボードのリサイクル推進は急務といえます。しかしながら現在、現在、廃石膏ボードはほとんどが最終処分されています。汚れがなく再生しやすい新築系廃石膏ボード(新築工事時に余ったボードなど)に絞っても、再資源化率は60~70%程度です。素材の分別などに手間がかかるというだけでなく、リサイクル先(再生石膏の用途)が少ないことも大きな理由と考えられています。

廃石膏ボードのリサイクル先の例 (再生石膏の用途)
●セメント ●石膏ボード ●固化材 など
参考(外部ページにリンクします)
2039年には全国300万トン以上に……増える廃石膏ボード
石膏ボードの廃棄量は年々増加しています。これは石膏ボードが耐火性の建築材料として多用されてきたことに加え、高度経済成長期に建てられた住宅が解体時期を迎えていることによるもので、今後も廃棄量は増加の一途をたどると考えられています。業界団体※によれば、2025年には日本全国で200万トン、2039年には300万トンを超えるとも推計されており、その一方で管理型最終処分場の残余容量は少なく、大都市を中心に、処分料金は高騰しています。廃石膏ボードの処分は今後、さらなる社会的課題となっていくとみられます。
※(一社)石膏ボード工業会
廃石膏ボードの排出動向

廃石膏ボードのリサイクル推進:分別~加工の敷居を下げつつ、新たな用途を開拓
手間と用途の両面から「再生しやすい」環境を構築する
では、どうしたら廃石膏ボードのリサイクルをもっと普及させることができるのでしょうか。考えられる主なアプローチは次の二つです。
廃石膏ボードリサイクル拡大に向けた2つのアプローチ
- 中間処理業者やメーカーが行う分別~リサイクル加工工程をもっと効率化すること
- 最終的なリサイクル先を増やすこと
高度な技術や設備の導入によって、リサイクルの手間とコストを削減できれば、それだけ参入の敷居は下がっていきます。また、関連の業界全体で石膏の用途開発や販路開拓などを行い、スムーズにリサイクルできるしくみを構築していくことも将来的には必要となるでしょう。
さらに、廃石膏ボードの最終処分量を減らすには、解体系廃石膏ボード(解体工事現場から発生する廃石膏ボード)のリサイクルも拡大していかねばなりません。これには付着物の的確な除去などが必要となり、さらなる技術開発も求められます。
日工では、保有するプラント関連技術(加熱技術、混錬技術、搬送技術など)を活かし、さまざまな石膏リサイクル関連装置を提供してきた実績があります。
廃石膏に含まれるフッ素が土壌に溶出しないよう処理する技術も発表しており、環境への影響を抑制する提案も可能です。こうした強みを活かし、石膏ボードリサイクル装置やシステムを提案することを通じて、リサイクルのさらなる普及に貢献しています。
日工の提案範囲

石膏ボード コラム
災害時の石膏ボード廃棄・リサイクルの現状
大規模災害時に大量に生じるがれき(建材)の処分・リサイクルは世界的な課題です。国内においては処理の迅速化に向けた特例措置※などが設けられてきましたが、有事におけるリサイクル体制はまだまだ確立していません。中でも石膏ボードは、災害下で「産業廃棄物」から「一般廃棄物」に扱いが変わる一方、処理できる施設が少なく、ほとんどリサイクルされてきませんでした。
災害時の廃石膏ボードリサイクルにおける課題
- 必要な処理能力を確保できない
- ・処分可能な中間処理施設がもともと少ないことに加え、要求される処分量が多い。
- ・各自治体での特例措置の活用も進んでいない
- 状態の悪い廃石膏ボードも多い
- ・水で濡れているなど、破砕処理できない状態のものがある
⇒適切な分別解体ができる体制づくりやリサイクル技術の向上がますます重要に
こうした中、環境省は2021年に「災害時に発生する廃石膏ボードの再生利用について」(手引き)を公開。(国研)国立環境研究所の「再生石膏粉の有効利用ガイドライン」なども参照しながら、災害時に生じる廃石膏ボードの再生利用を促しています。
※廃棄物処理法第9条3の3「非常災害に係る一般廃棄物処理施設の設置の特例」
参考(外部ページにリンクします)
日工の提案事例
石膏の加熱脱水処理をコンパクト化、コストも削減
(建設会社への半水石膏系固化材製造プラントのご提案)
ポイント
- 石膏を原料とした固化材の自家製造プラント提案
- 廃石膏由来のリサイクル原料を用いてコストを低減
- 設備のユニット化でさらなるコスト低減と簡便な導入を実現
- 大型設備(4t/h)、小型設備(1t/h)の両方をラインアップ
当社では建設会社のお客様向けに、全国でも初めての固化材プラントを納入しました。本プラントでは、(1)原料石膏の加熱処理(石膏を脱水し焼石膏を製造)、(2)固化材への加工(他原料と混練)、(3)計量、フレコンへの封入を一貫して行えます。
これによりお客様プラントのコンパクト化が実現。また、原料として再生石膏(粉)を購入し、自社で固化材を加工製造できるようにしたことで、大幅なコスト削減にもつながりました。
納入事例はこちらをご覧ください(外部ページにリンクします)
再生石膏(粉)を用いた固化材の製造
当建設工事現場での土質改良に用いる「固化材」は、廃石膏の主要なリサイクル先の一つです。
通常、石膏(二水石膏)を120~150℃まで加熱して半水石膏(焼石膏)とし、セメント、石灰等と計量配合・混練し固化材とします。

固化材で改良処理した建設発生土
参考)半水石膏の性質

日工のおもな石膏リサイクル設備
(1)半水石膏の製造設備
石膏ボード粉を加熱処理し、固化材原料にも使用できる半水石膏に再生する設備

(2)半水石膏系固化材製造設備
半水石膏を原料として固化材を製造するプラント
(半水石膏製造設備と一式でのご提案が可能)

(3)無水石膏製造設備
石膏ボード粉を加熱処理し、完全に脱水した無水石膏に再生する設備。無水石膏の用途はセメントなど


<付帯設備> クーリングロータリー
焼成時に800℃以上にもなる石膏を速やかに冷却し、粉砕機に投入できるように

日工では、石膏ボードの処分の効率化やリサイクル率拡大に寄与する
各種製品・サービスを提供しています。
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廃石膏加熱処理システム
半水石膏製造設備『プラスリアクター』各種機能を1ユニットにまとめたコンパクトな半水石膏製造設備です。
ここが
ポイント11tトラックで輸送可能
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廃石膏加熱処理システム
無水石膏製造設備セメント原料となるⅡ型無水石膏まで焼成処理します。
ここが
ポイント無水石膏、半水石膏の両方の製造が可能です(特許出願中)
石膏ボードリサイクルに関するその他のご相談も、
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